REBEL∝VECTOR

小説/イラスト/詩/俳句 ©永都由崇

Mov.69 彼岸から(2)

 燃え輝く星と星が幾度も衝突し、荒れ狂う宇宙を激動させるように――

 膨れたこぶしとこぶしがぶつかり合い、黒い肌、醜い腫瘍に炸裂する闘争――溶岩流を削って駆け、空間の嵐に躍る魔人対魔人の死闘は、舞台になっているゲヘンナ火山頂付近を吹き飛ばさんばかりの、さながら神話上の戦いといった壮絶さを世界に見せつけていた。

 

「――こんなモンか、クソがァァァ!」

「――ぐうぅッ!――」

 

 巨大なこぶしがストレートパンチをはじき、ぼろ布に変わり果てたワイシャツからのぞく黒い胸を直撃――もんどり打って溶岩流をえぐりながら転げ、嵐に飛ばされて滑落するユキトは両手の爪を流れに突き立てて減速させ、やっとのことで止めると疲弊した体に鞭打って前のめりに立ち上がり、ぼさぼさ髪を暴風で逆立てながら斜面を駆けのぼった。

 

「――シツけーんだよ……さっさとクタバりやがれェッッ!」

「――そうはいくかッッ!」

 

 待ち構えるシンの上半身から百を超えるホーミング・ミサイルが斉射され、ユキトの両こぶしが光を燃え上がらせると、太陽が砕けたような爆炎が数瞬宵闇を焼き払って一帯を赤々と照らし、天衝く山に激震を走らせる。

 

「――うおおおおおおおおおおッッッッ!」

「――ガアアアアアアアアァッッッッ!」

 

 爆炎を突き抜けたユキトの右こぶし――ブレイキング・ソウルが黒く燃える巨拳と激突して空間を狂震させ、せめぎ合う両者をはじき飛ばして隔てる。

 

「……あいつ、このままだとぶっ壊れる……!」

 

 もだえるように荒れる上流をにらむユキト。その視界が陰ってゆがみ、闇のうねりに飲まれそうになる。

 バーストがデモン・カーズを促進し、アストラルの崩壊が進んでいる――

 両こぶしをきつく固めて胸の前に上げ、ユキトは眉間をかなめに顔のしわを刻み、かみ締める歯をきしらせてばらばらに崩れそうな体を懸命に支えた。火あぶりにされているような灼熱――骨を砕き、肉と内臓を破裂させるような激痛――この滅びの苦しみにさいなまれているのはシンも同じ――自暴自棄にバーストしている分、ずっと過酷なはずだった。

 

「――もうやめてくれッ!」

 

 痛切な願いを込め、ユキトは見るも無残な仮面に叫びをぶつけた。

 

「――そんなお前を見てジュリアはどう思うんだよ! 喜ぶのかよォッ!」

「――ゥるッッせえェェエッッッッッッ――――――――――!」

 

 突き出された両腕が身長の3倍強伸びて膨れ、ビームキャノンの砲身から盛り上がる破壊兵器の数々が周りをクレイジーに飾り立てる。さらに胸、腹部と背中の腫瘍から隆起するホーミング・ミサイルが流動の嵐に突き刺さる。

 

「――きえやがれエエェッッッ! ナニもかもオオオォォッッッ!――」

 

 発動する〈ファイナル・デストロイ・ブーケ〉――発狂して襲いかかるビームと砲弾、ミサイルに立ち向かい、ユキトは己を爆発的に輝かせて左右のこぶしを繰り出した――