REBEL∝VECTOR

小説/イラスト/詩/俳句 ©NaG∀T∴

Mov.51 真相が呼ぶ暴走(1)

 

 とめどなく発射され、空間をジグザグに切り裂きながら無差別に急降下する小型ミサイル群――カーリフトやハイパーゴッデス号に炸裂し、地上に突っ込んでガーディアンたちを吹き飛ばす爆発の乱打――破片を高速で飛び散らせながら咲き乱れる爆炎――

 

「――くッ、ううッ!」

 

 破壊の祭典に耐え、同じくバリアを強めて防御する紗季やジョアン、クォンらに目を走らせて――ガスマスクを投げ捨てるや、ユキトは背中からミサイルを撃ち出す影めがけて飛び出した。

 

「――何してんだよ、お前はァッッ!」

 

 光炎を噴く黒いこぶしがシンの左腕でドゴォッッとガード――衝撃とせめぎ合う力とで痙攣する一帯――

 

「……あいかわらずウゼーな……! きえやがれッッ!」

「――くぬッ!」

 

 下腹部を狙う黒い素足――左膝を上げて蹴りを防いだユキトはフルバーストし、右こぶしを力任せに押し込んで後ずさらせた。

 

「――急所ばかり狙いやがって! ふざけんなよッ!――」

「るせェッッ――!」

 

 こぶしにこぶしが応酬し、蹴りが互いのバリアを打って衝撃音を連続させる。光の炎を噴いてラッシュし合い、存在すべてを暴力に変えて狂う両者――

 

「――お前のせいでジュリアたちは死んだんだぞッ! なのに、反省するどころかこんなことをしてェッッ!」

「――うおおおああああああああああああァッッッ――――ッ!」

 

 ラー・ハブ事件の真相も孤独な苦悩も何も知らない怒声が、傷だらけの仮面の下から内臓をぶちまけるような絶叫を噴出させる。身もだえするデスマスクに炸裂するユキトの右こぶし――だが、素足で大地を削りながら踏ん張ったシンは肉体を激発させ、急加速したこぶしを顔面へ叩き込んだ。

 

「――ぐおァッッ!」

 

 ゆがんだ顔をそらして吹っ飛び、転がるユキトに対し、シンの右手が再び大型高出力ビーム砲に変わってグオッッと向けられる。

 

「――ふッとびやがれェッッッ!」

「――やめなさい、シンッ!」

「危ない、サキッッ!――」

 

 ユキトの盾になろうとする紗季――それを守らんとジョアンが脇から放ったファイヤー・ブリッドがシンを直撃し、赤い仮面に爆炎がかみつくのとほぼ同時に発射される怒涛のビーム――

 

「――のォッ!」

 

 紗季をかばうユキトを直撃――バリアを獰猛に焼きながら飛び散るエネルギーが下生えを黒焦げにし、ルルフキャッスルに退避するガーディアンたちの周囲やミサイル攻撃でひどく損傷したハイパーゴッデス号を地下に戻す途中のカーリフトに当たってあちこちから悲鳴を爆ぜさせる。

 

「――危ないだろ、篠沢! 下がってろッ!」

「だけどさ!――どうしちゃったのよ、シン! 何でこんなことするのよッ!」

『呪いです』頭上できらめくワン。『レッドデスマスクは、装着者の闇を増幅する呪いのアイテム。今のシン・リュソンは、自分と世界への激しい憎悪に取り憑かれた破壊の権化ごんげなのです』

「……どうしてそんな……――シン、そんな仮面外してこっちに来なさいよッ! こんなことをしていたら、あんたの命は――」

「下がれ、篠沢ッ!――ッ!」

 

 ビームキャノンが口径50ミリのガトリング砲に変化――高速回転して砲弾を連射する。

 

「――くっ、このおッッ!」

 

 光を猛らせたユキトは砲弾をはじきながら突撃して砲身に右フックを食らわせ、体当たりしてよろけさせると、すかさずブレイキング・バッシュを叩き込んだ。黒い肉体を容赦なく連打する、輝くこぶしの猛攻――

 

「……そのていどかよ、ニホンザル……!」

「何ィッ?――ごッッ!」

 

 左頬に強烈な一撃――こぶしで砕かれた視界が半回転し、ドッとぶっ倒れるユキト。濁った意識を強いて起き上がろうとしたところで蹴りがめり込み、飛んで横倒しになる体――

 

「……ぬるいんだよォ……! くたばるのをビビってちゃ、マジパワーはだせねーぞォッッッ!」

「こ、こいつッッ!――ぐッッ!」

「斯波ッ!」

「ちかよンじゃねーよッッ!」

 

 蹴りつけられるユキトを助けようとする紗季――その身が瞬時に数百発被弾、吹っ飛んで転がる。すでにルルフはハイパーゴッデス号ごと地下に逃げ、北倉と鎌田が率いるルル・ガーディアンズは負傷した仲間を引きずってキャッスル前まで後退している。クォンの姿はいつの間にか見当たらなくなっていて、ユキトの近くにいるのは紗季と彼女を助け起こすジョアンだけだった。

 

「……どーした、ニホンザル……!」

 

 シンがしゃがみ、胸倉をつかんでグオッと強引に引き起こす。

 

「……もうオワリか? ああッッンッ?」

「……この、クソ野郎ッ……!」

「……ああ、そのとーりだよ……! オレは、クソなんだよォッッ!」

 

 ユキトを紗季たちの方へ突き飛ばし――黒い両腕がビームキャノンに変わり、さらにその砲身から新たにビームキャノンが、レールガン、ガトリングガン、ミサイルランチャーなどが現れて周りをごてごて飾る。スペシャル・スキル、デストロイ・ブーケ――両腕を兵器の束にしたシンは、たじろぐ標的に狙いをつけた。

 

「やば――Stopだッッ、シン・リュソンッッッ!」

「……くたばれ……どいつもこいつもおおォォォッッ――!」

「――やめなさいって言ってるでしょォォッ!」

 

 激発しようとする破壊に紗季が叫びをとどろかせたとき、オレンジジャージに隠された胸元から突如黒い輝きがあふれ出し、爆発的に発生した黒いうねりがたちまち一帯を飲み込んだ――