REBEL∝VECTOR

小説/イラスト/詩/俳句 ©永都由崇

Mov.39 分裂の始まり(2)

「……そっか」

 

 あだっぽい唇を舌打ちでゆがめ、ため息を噴いたルルフは胡坐あぐらから足を投げ出してボフッと仰向けになった。外れた視線を追って動いたコネクトのウインドウがベッドの天蓋てんがいをバックにし、四角い画面に映る鎌田がピンクのキャミソールに隠された豊満をちら見しながら続ける。

 

『そのような訳で、コリア・トンジョクの連中は尻尾を巻いて逃げて行きましたよ。はじめは威勢が良かったのに』

「まったく情けないなあ~」

 

 黄金のツインテールを抽象芸術のごとく広げるルルフは、無造作に転がる怪獣のぬいぐるみの一つをつかみ、鋭い爪が生えた太い手足をいじりながらぷるっとした唇を尖らせた。

 

「――捨て身でやっつけてくれればよかったのにさ。コンサートは開けない、家の周りでは警備隊が目を光らせているなんてたまらないよー!――ねぇ、カマック、何とかならないの~? あなた、運営委員会の委員でしょぉ?」

『それを言わないで下さいよ、ルルりん。委員会は佐伯リーダーが牛耳っているんですから。にらまれたら、ボクなんか一溜まりもありません。とにかく、今はおとなしくしていましょう。そのうちきっと流れが変わりますよ』

「『そのうち』っていつよ?」

『そ、そのうちです……』

「……もういいよ。バイバイ、カマック」

『あっ、ルッ、ル――』

 

 コネクトを切ったルルフはぬいぐるみをポイと投げ、いら立たしげに寝返った。

 

『――キャハキャハ♪ ルルりん、モンモンしちゃってるね。キャハキャハッ♪』

 

 宙にロココ調デザインの楕円型ミラー――ミラが現れ、くるくるひゅんひゅんはしゃぐ。

 

「笑い事じゃないわよ! こっちはストレス溜まりまくりなんだから! あー、イライラするよー! もっともっとポイントが欲しいのにー! ルルラーたちも警備隊にビビって頼りにならないし、どうしたらいいのよー!」

 

 両腕とショートパンツから出た足をばたつかせると、ミラが笑いながらくるくる飛び回る。いらついたルルフは手を伸ばしてつかんだワニクジラ怪獣のぬいぐるみを投げつけ、うつ伏せになって歯がみする顔をうずめた。

 

「……それもこれもジョアンあいつのせいだ……! 絶対……絶ッッ対許さないんだから……!」