REBEL∝VECTOR

小説/イラスト/詩/俳句 ©永都由崇

Mov.30 夜陰に消える絆(1)

 ――……どうして、こんな……!――

 ――……なぜ僕が……! 何でだよ……何で……!――

 ――……薄情だよ、潤は……僕がこれだけ苦しんでいるのに……――

 ――……みんなは、僕があいつと同じになるって……同じになって危害を加えるって……!――

 ――……いいさ……その通りにしてやる……何もかもぶっ壊してやる……!――

 ――……ちくしょう……! ちくしょう……!――

 ――……こんなだから、潤に愛想を尽かされるんだ……僕は、佐伯さんにも新田さんにも遠く及ばない……ただのクズだ。クズ野郎だ……篠沢たちが心配してくれたのに、あんな態度……――

 ――……くそっ、どうしてなんだ……! どうして…………………………………………―――――

 

 闇が凝縮した部屋の片隅で……頭から足先まで覆って潰しにかかる掛け布団と冷え冷えとしたベッドマットに挟まれてひび割れそうなほど歯をかみ締め、ユキトは厚手の革手袋に似た質感の右手にグググッ……と左手の爪を食い込ませた。暗闇をさまようごとく延々と繰り返される呪詛じゅそ、憤怒、悲嘆……自己嫌悪……草木さえ深い眠りに就く時刻に独り苦悶し、心がぼろぼろ崩れていく……

 

 ――……もういいよ……これ以上苦しめないでくれよ……一思いに――

 

 ガシャァン――

 

 闇に響く、掃き出し窓が割れる音――引かれたカーテンにガラス片がぶつかってリビングの床にバララッと散らばる。異常を察知したカンシくんがけたたましい警報を鳴らし、掛け布団の上から槍で突かれたようにユキトが飛び起きると、続いてダイニングキッチンの方の掃き出し窓が割れ、硬い物がフローリング床を転がる音が連続する。

 音から推測すると、複数の人間が石を投げ付けている――

 それを前に、ユキトはベッドの上で硬直してリビングとダイニングキッチンの掃き出し窓が割れていく音を聞いていた。そして、ようやく詰所から出て来た監視当番たちが狼藉者ろうぜきものを追い払ったとき、少年は無残に割れた掃き出し窓に体当たりして外れたガラス戸もろとも外に倒れ、制止を振り切って暗闇に突っ込んだ。