REBEL∝VECTOR

小説/イラスト/詩/俳句 ©永都由崇

Mov.13 心を一つに(10)

「――ななッ、な、何だッッ?」

 

 うろたえ、バランスを崩して地面に叩き付けられた新田は、空間ごと震動する暴れ馬のような大地に伏せ、小石混じりの土に爪をきつく食い込ませて存在の重みをかけた。まるで脳が沸騰ふっとうしたごとく地が踊り狂い、空間が雷鳴をはるかにしのぐをとどろかせてうねる――影も形もろくに判別できないほどゆがんだその只中で鉄鍋てつなべで炒められる食材さながらに跳ねる者たちは、パニックになってわめき、泣き叫んで転がりながら地面にしがみつこうと必死にあがいた。

 

「――ワ、ワンッ!――お、おいッッ!――な――何が――」

『大空間震、そして、それが引き起こした大流動です』

 

 新田をのぞき込むようにワンが浮かび上がり、無関心そうにきらめく。

 

「だっ、大――? だ、だけど、ここはフ、フェイス・スポッ――」

『これでもここはましです。遺跡の外は、存在そのものがばらばらになりかねないほどのエネルギーが荒れ狂い、山脈も樹海も空も何もかもが乱れて混沌としています。あなた方も気を抜いていると、たちまちどこかに飛ばされてしまいますよ』

「よく、もそんな――ッ……!」

 

 怒りを満面に刻んだ新田はコネクトのウインドウを開き、ずたずたに引き裂かれた映像めがけて腹の底から叫びをしぼり出した。

 

「――みん――んなッ、じ、地面か、い、遺構にしが――みつ――けッッ! 流ッさ――れ――れ、たら終――わり、だ、だ、だぞ、ぞッッ!――」

 

 繰り返しながら新田は死に物狂いで激浪げきろうにしがみつき、四肢が引き千切れてはね飛ばされそうになるのをこらえながら、森羅万象しんらばんしょうをめちゃくちゃにかき乱す大災厄が静まるのをひたすら、ひたすら待ち望んだ……――