REBEL∝VECTOR

小説/イラスト/詩/俳句 ©NaG∀T∴

Mov.66 頂を目指して(2)

「――モ、モンスターの嵐……!――あわッ!」 青ざめた唇を震わせ、翼状のツインテールを揺らして後ずさったルルフは傾斜したベランダで足を滑らせ、とっさに右手に握ったツインテール太陽の黄金杖で体を支えた。窪んだ頂から水蒸気噴火のごとく噴き出し、標高お…

Mov.66 頂を目指して(1)

カッ―― カッ――カッ、カッ―― さざ波立つ闇の空にいくつもの輝きが生まれ、流動に揺られながら降下……鳴動する独立峰を明々あかあかと照らす。 照明弾―― 各陣営から信号拳銃で撃ち上げられたそれらは、冷え固まった溶岩流の黒いケロイドが覆う山腹を、麓の方々…

Mov.65 真ヤマトに咲く華

――私、後藤アンジェラは、僭越ながら佐伯軍将の遺志を継ぎ、真ヤマト軍のリーダーに就任させていただく決意を固めました。 私たちは矢萩一派のようなヤマトの奇形をのさばらせたことで多くの人々を苦しめ、心ある同志たちが犠牲になるのを許してしまいました…

Mov.64 劣化(2)

「――ああッ、もうッッ!」 わしづかみにしたクッキーを投げ付け、ルルフは鎌田たちが閉めた扉をにらんで呼吸を荒らげた。 「……あいつら、口答えするなんて……!」 『キャハキャハッ♪』 空中にロココ調デザインの楕円型ミラー――ミラが現れ、くるくる踊りながら…

Mov.64 劣化(1)

「……今日もハイパーにノルマ未達だね」 目の前に表示された総納付額から転じたとげとげしい目――クリスタルテーブルを飛び越え、ローズカラーの絨毯の外に縮こまって立つ鎌田と北倉に突き付けられる。シャンパンゴールドのソファに座して飾り羽が威嚇する肩を…

Mov.63 決闘(2)

「conditionはいいのか?」 「気遣いはいらないよ。全力で来い」 「OK……!」 両袖をまくって腫瘍の腕を出したユキトがこぶしを固めて全身に光を帯びると、胸の前で手の平を合わせて精神集中したジョアンの左右に4体の『巻貝』が殻頂を標的に向け…

Mov.63 決闘(1)

蒼い黎明を席巻する黒雲……その僅かな雲間で輝く赤い星の下、頂が落ちくぼんだ標高約4000メートルの黒い円錐形の山が揺らめき、怒りのような、嘆きのような地鳴りを重く響かせる。その麓でユキトは混沌と流れる礫れきだらけの地面をスニーカーで踏み、ざ…

Mov.62 カタストロフィ(3)

怒涛のごとく吹き流れる空一面の暗雲が、横殴りの雨にめった打たれるヤマト王城と塀、やぐら門が、うめく若者たちが横たわるクレーターだらけの一帯が、底知れぬ淵を沈んでいくかのように陰り、暗い輝きに飲まれる――それがデストロイ・ブーケから放たれたビ…

Mov.62 カタストロフィ(2)

「――そ、そんなッ!」 ウインドウに叫んだユキトは半壊したフロアから離れ、がれきを踏みながら近くの扉に走って脱衣所、そして一面ゴールドのバスルームへ駆け込み、右こぶしで窓ガラスとシャッターをぶち破って大穴を開け、湿った風が暴徒のように吹き込む…

Mov.62 カタストロフィ(1)

――しっ、城の最上階が爆発したッ!―― ――矢萩のアイコンが消えたぞ!―― ――やったのかっ? 先行した斯波たちが?―― 矢萩が集中砲火でちりになる十数分前――押し寄せた同盟軍メンバーは半壊して煙を上げるヤマト王城最上階をやぐら門手前から見上げてどよめき、…

Mov.61 影との再会(4)

「……はぁ、ゼぁ……――うおおッ!」 北東からの強風にあおられて石の縁を踏み外し、崩れた石垣の坂をごろごろ転げ落ちて荒野に投げ出される矢萩―― 「……ぐ……ヂクしょオッ……!」 悪態をついてよろよろ体を起こし、振り返って斜面の上をうかがう醜貌しゅうぼうがお…

二次創作イラスト 2017.5.14

【アイドルマスターシンデレラガールズ】「宮本フレデリカ」イラスト/永都 由崇 [pixiv]

Mov.61 影との再会(3)

「……え? さ、佐伯さん?」 半信半疑のユキトの隣で、言葉を失うジョンナ……矢萩が放ったブラッド・レイ∞インフィニティの光に消え去るのを目撃していては無理もなく、佐伯がユキトの横に立ったところでようやく瞬きをした。 「軍将……」 「佐伯さん……」 ユキ…

Mov.61 影との再会(2)

「あ、ヒャ、ひゃ! 化けモンろクセにヌード見て隙がでじるとはネェ! マジウケるわァ! あひゃハッ、はへは、ひ、ひ、ヒヒ、ヒ、ひッヒ!」 入谷が頭をガクガク振り、体を揺らして哄笑すると、左右の少女たちも狂った笑い声を合わせる。それは悪霊に取り憑…

Mov.61 影との再会(1)

戦端を開いたのは、北東からすさぶ風に踊る歌声―― 次第にかさと濁りを増し、中天によろよろ昇る陽をかき消そうとする雲の下で高慢にきらめくハイパーゴッデス号の高みから勇壮な歌声が色あせた平原に響いてウェーブを起こすと、コンコルディ遺跡を背に陣を張…

Mov.60 落日の兆し

黒御影石の段を一歩、一歩……黒軍服姿の背に大石を負い、ブーツがぬかるみにはまったかのような足取りで横幅がある折返し階段をのろのろ上がる中塚をブラケットライトが冷ややかに照らし、苦みをはらんでうつむいた細面を影で黒ずませる。その顔は5階に近付…

Mov.59 新生(2)

――あらためて謝りに来るんだって?―― ――連れて行くってコネクトがあったんだよ。斯波ユキトから―― ――あっ、来たよ―― コリア・トンジョクメンバーの声が、薄紫の袖を胸で組んで立つクォンの背後で低くなる。ドーム屋根住居群のそばに固まる韓服姿……その頭上で…

俳句 2017年5月7日

俳句 2017年5月7日

Mov.59 新生(1)

午後一で行われた潤の取り調べ終了後――ユキトは書記を務めたエリーと別れ、潤に付き添って同盟軍本部事務所を出た。おぼろな雲越しに差す薄ぼんやりとした陽が調理場と食堂を収めるパイプテントを、コリア・トンジョクのドーム屋根住居群や黄金の大聖堂――ハ…

Mov.58 涙を抱いて(3)

潤が傷を癒し、聖奏学園の制服に着替えるのを待ってユキトが揺らめく戦場に向き直ったとき、すでにルルフの歌はやみ、波立っていた流動も落ち着きを取り戻しつつあった。鮮血色の朝焼けが消えた早朝の曇天下にヤマト軍の黒い軍服は見当たらず、くすんだ輝き…

Mov.58 涙を抱いて(2)

「――来るよッ!」 叫んだ遠山が小脇に抱えたレールガンの砲口を重そうに向ける先――風が荒れる空間のうねりを逆巻かせ、噴流のごとき土煙を立てて爆走する黒いマシンのハンドルから両手を離し、加賀美潤は黒髪と桜花が燃える袖を激しくなびかせながら右翼のユ…

Mov.58 涙を抱いて(1)

布告 ハーモニーの再生を目指す我々同盟のメンバーは、再三に渡る要求を拒んで非人道的行為を続けるコミュニティ『ヤマト』に対して、ここに宣戦を布告します。 元は同じコミュニティに属していた者同士がこのような事態に至ったのは非常に残念ですが、この…

Mov.57 狂える前夜(2)

泡立った泥色の雲がよどみ、揺らめく夜空の下……左腕を上にして腕組みした加賀美潤は荒涼とした野を覆う闇に切れ長の目を細め、落ち着きなく流れを変える不安定な流動と、うなり、うめくような響きとともに吹き乱れる風に長い黒髪を弄ばれていた。鼻から下を…

二次創作イラスト 2017.4.30

【松永涼】「松永涼」イラスト/永都 由崇 [pixiv]

Mov.57 狂える前夜(1)

とぐろを巻き、鎌首をもたげた血みどろのキングコブラ……それが、カニのハサミの形をしたコンコルディ遺跡北部――『可動指』地域にそびえ立つ〈ヤマト王城〉を見た者が身震いとともに連想するイメージだった。 野球場ほどの舗装された敷地を六角形に囲む高さ3…

Mov.56 ハーモニー再生同盟

ハーモニー再生同盟憲章けんしょう 第一条 この同盟は、このゾーンに生きるすべての者たちが互いを尊重し、調和して暮らせる社会を目指すものである。 第二条 この同盟は、志を同じくする者であれば、ルーツ、性別、所属等に関わりなく加盟者になることがで…

二次創作イラスト 2017.4.27

【アイドルマスターシンデレラガールズ】「水木聖來 2017 4・27」イラスト/永都 由崇 [pixiv]

Mov.55 戦場を駆ける振袖

霧雨で煙る平原に雄叫びがとどろき、ずるずる流れる草を泥まみれのノビータイヤがひいて千切り――堰せきを切って連続する銃声、砲声が一帯を破壊のちまた・・・に変貌させる。ヤマト護魂戦線全滅の報をきっかけに加賀美潤率いるヤマト軍総勢20名は流動を駆…

Mov.54 魔王(3)

「――!」 右斜め前方に転じられた目を赤い光がくらまし、ハッとする三人衆の見ている前で胸がはだけた上半身と腰とを消し飛ばそうとした高出力のビームがバリアにぶつかってバアアッッと拡散――とばっちりを食った木々が黒焦げになり、下生えごと焼かれてえぐ…

俳句 2017年4月23日

俳句 2017年4月23日